情報の非対称性

先日地価の公示価格が発表されました。ほとんどのニュースソースが地価の下げ止まりが顕著になりマンション販売が活発になったと報道されていました。ご丁寧にマンション内覧会の人々のインタビューまで放送されていました。ほとんどの人が消費税の増税とこの先の金利上昇を見越してといった理由付けで締めくくられていました。

 

確かに景気弾力条項などというものは効力がなく、消費税増税は既定路線であるが、金利上昇は現在の国債の発行状況を考えると当分先の事である。

 

ご存じのように毎年毎年の税収不足を国債の乱発により運営されている国家である。その国債は大半がさしたる運用先のない国内の金融機関が引き受けている。超低金利で国民から金を集め、最も安全な国債で確実に利ザヤを稼いでいる図式である。当然政府としても調達コストすなわち金利は低ければ低いほどいいわけであるから、税収が増加しなければこの図式は変わらない。

 

内需が先細る日本で今後ますます需給ギヤップが広がるのは明確である。従って公共電波で国民の需要喚起を促す為、先ほどの地価の公示価格ひとつをとってもあのような偏った報道になるのだろう。

 

例えばあなたが勤務先企業で毎年毎年、売り上げの前年割れをおこしていた場合あなたは上司や社長に今年も前年割れでしたが、今年は前年と比べて下げ止まりの兆しがありますと報告できるだろうか?地価公示の中立的な報道をするならば、今年も地価は前年割れとなりました。しかし一部都心では来年の消費税増税が既定路線とみた人々のマンション購入意欲が強く、マンション開発を後押しし前年比プラスの地点もありました。来年こそは下げ止まりに期待したいと締めくくるのが正しい報道ではないだろうか?

 

一つの出来事を都合よく加工して放送する。これも一つの情報操作である。そしてその上っ面しか知らされない。まさに情報の非対称性が顕著にでた報道である。